Allergy
髪を染めるにはカラー剤が必要です
そしてそのカラー剤の中でも「酸化染毛剤」と呼ばれているものが
私たちが普段使用しているカラー剤のメインになります
酸化染毛剤には大きく分けて3つの成分が入っています
「酸化染料」「アルカリ」「過酸化水素」
この3つの成分が髪を染めるのに必要な成分なのですが
それと同時に肌や髪にストレスダメージを与える原因でもあり
そして肌トラブルの原因にもなります
私たちに肌トラブルの原因はもちろんカラーだけではありません
パーマなどはもちろん、普段使っている化粧品や衣類などでも起こります
接触性皮膚炎(かぶれ)
接触性皮膚炎は、皮膚に触れた何らかの物質が
刺激やアレルギー反応となって炎症を起こしたものです
「かぶれ」とも呼ばれ、湿疹や赤み、かゆみ、水ぶくれや腫れなどさまざまな症状を伴い
基本的には原因物質(アレルゲン)が触れた部分に症状が現れます。
接触性皮膚炎は
皮膚に触れる物質の刺激が強いために生じる「刺激性接触皮膚炎」
皮膚に触れる物質にアレルギーがある場合に生じる「アレルギー性皮膚炎」
紫外線が関わる「光接触皮膚炎」
に大別され、炎症が起こる原因はそれぞれ異なります
酸化染料
酸化染料は髪を染めるのに欠かせない色を入れる成分です
染料の分子が非常に小さいので髪の内部まで浸透し
2剤の過酸化水素と混ざることによって酸化し分子が大きくなり
キューティクルの外側に出られなくなります
分子が大きくなることによって色として目に見えるようになり
発色して毛髪内部にとどまります
成分
主な酸化染料はジアミン染料と呼ばれる化学成分で
ヘアカラーにおける肌トラブルの
一番の原因物質(アレルゲン)と言われています
他にも酸化染料はアミノフェノール系やニトロ染料と呼ばれるものがあり
これらを組み合わせる事により様々な色味を作ることができます
アレルギーを発症する頻度が特に高いのが
「パラフェニレンジアミン」
「硫酸トルエン2,5-ジアミン」
「パラアミノフェノール」で
他にも酸化染料は
「オルトアミノフェノール」
「メタアミノフェノール」
「レゾルシン」
「パラアミノフェノール」
「塩酸2,4-ジアミノフェノキシエタノール」
などがあります
それらの酸化染料が原因となって起こる
「アレルギー性接触皮膚炎」のことを総称して
「ジアミンアレルギー」と呼んでいます
ジアミンアレルギー
酸化染料の中でもジアミン染料は黒や茶色の色味を得意としています
染まりも良く色待ちも良いので
黒染めや白髪染めには多く配合されている事が多いです
アレルギーは先天的に持っている人と
ある日突然アレルギーになってしまう人がいます
先天的な場合は生まれ持っているアレルギーですが
後天的な場合は蓄積された原因物質が許容範囲を超えた場合に発症します
花粉症がいい例です
花粉のアレルギーになった人は辛い症状で悩みますが
アレルギーになっていない人には触れても痛くも痒くもありません
ですが何の症状もなかった人が突然花粉症になるのはよくある事です
蓄積された花粉が許容範囲を超えてしまったのです
花粉症と同じようにジアミンアレルギーも多くの場合
ヘアカラーで染め続けている事でジアミン染料との接触回数が増え
自分の許容量を超えてしまった為にアレルギーを発症してしまいます
もちろんアレルギーを発症しない人もたくさんいますが
いつアレルギーが発症するのかは誰にもわかりません
ジアミンアレルギーは一度発症してしまうと治らないと言われています
もしこのジアミンアレルギーになってしまった場合
ジアミン染料の入っていないカラー剤(ノンジアミンカラー)
でしか染めれなくなってしまいます
我慢してカラーを続けさらにアレルギー症状が酷くなると
交差反応というその原因物質によく似た他の物質にも
アレルギー反応が出てしまうようになります
アレルギーを悪化させてしまう前に早めの対策をしたり
現在アレルギー症状が無い人でもそうならないように
出来る限りアレルギーを起こさないようにする対策が必要です
症状
ジアミンアレルギーは
ヘアカラーの最中はなんともないのに
数時間後や家に帰ってから症状が発症します
ヘアカラーから数時間後などに
・頭皮が痒くなる
・頭が少しジンジンする
・身体が少しダルくなる
という症状を感じている方は気を付けた方がいいでしょう
ジアミンアレルギーの初期症状かもしれません
この状態を我慢したり、ヘアカラーが原因だと気付かないままカラーを繰り返していると
・激しい痒み
・かぶれ
・痛み
・顔や首・耳など頭皮以外への炎症
など強い症状にへと変わっていきます
症状が悪化すると最悪
・薬剤が触れていない部分がパンパンに腫れる
・薬剤が触れた部分が水膨れのように腫れる
・アナフィラキシーショックなど命に危険を及ぼす様な症状
など危険な症状が出る可能性があるので非常に危険です
もし強いアレルギー症状を自覚した場合には
早めに医師などに相談し原因と対策を行いましょう
アレルギー性接触皮膚炎は皮膚が体に合わないと判断した原因物質に対して
体の免疫システムが異常反応を起こす事で起こるすアレルギー反応です
アレルギー性接触皮膚炎は
誰にでも起こるものではありませんが
現在は大丈夫な人もその情報は蓄積され
知らず知らずのうちにアレルギーとなることも少なくはありません
今後を考えると
できるだけリスクの低いものを使用した方がいいのは間違い無いでしょう
アルカリ
アルカリ剤は髪を膨潤させキューティクルを開き
薬剤を毛髪内部へと浸透させます
また、2剤である過酸化水素と混ざることにより
過酸化水素の酸素を発生させメラニン色素を分解させ
髪を脱色し明るくします
同時に、ヘアカラー1剤の酸化染料を酸化重合させ
色素を発色させる役割を担っています
ジアミンのようにアレルギー症状は起こりませんが
「刺激性接触皮膚炎」を起こす場合があります
刺激性接触皮膚炎は刺激から肌を守るバリア機能が
強い刺激に触れてしまった時に起こる炎症です
また弱い刺激でも刺激を受け続ける事によって
その許容範囲を超えた場合にも起こります
これは原因物質自体がもつ刺激によって起こるため
アレルギーに関係なく誰にでも起こる可能性のある症状です
肌が弱い人や乾燥肌の人はもちろんですが
肌が強い人でも傷などがあれば誰でも刺激を受けてしまいます
傷口にアルコールをかけると痛いのと同じなのです
刺激性接触皮膚炎は原因物質に触れてすぐに発症する事が多いです
なので症状の出ない人はその刺激に耐えれるバリアを持っていると言えます
しかし症状の出ない人でも原因物質に何度も触れることで
徐々に症状が現れる場合もあるので
現在が大丈夫だからといって安心してはいけません
成分
ヘアカラーに使用されているアルカリ剤は
アンモニアやモノエタノールアミンなどです
アンモニアはカラーの他にパーマやストレートなどにも使われています
アンモニアは毛髪を膨潤させ薬剤が毛髪中に浸透されやすくすると同時に
パーマやストレートなどに関係するチオグリコール酸塩と
毛髪中のシスチン結合との反応を速め髪の形状を変えるのに重要な役割を担っています
アンモニアは揮散するのでカラー施術後の毛髪をアルカリ性にとどめることがなく
徐々に毛髪のPH値である弱酸性に戻っていくのですが
アルカリ性に傾いている状態が長引く程キューティクルは開いている状態なので
早めに元の状態に戻してあげる必要があります
エタノールアミン類は化粧品などのPHをコントロールするために使用されています
薬用石鹸やシャンプー、リンスなどの界面活性剤に使われている他
除毛剤や育毛剤、その他の薬用化粧品などにも配合されています
エタノールアミン類の中でもモノエタノールアミンは毒性が少なく
カラー剤の中の役割としてはアンモニアの刺激臭を和らげる役目も担っています
エタノールアミン類は他にも多くの化粧品や医薬品などにも使用されていますが
中でもジエタノールアミン(GEA)やトリエタノールアミン(TEA)は強い毒性を持っているので
肌の弱い人は接触性皮膚炎を起こす可能性があるので気を付けた方がいい成分です
症状
アルカリによる接触性皮膚炎は
ヘアカラーが頭皮に塗られているその時に刺激を感じ
ヒリヒリとしたり痛みや痒みを感じたりします
一時的なものなので
ジアミンアレルギーのように深刻になる事はありませんが
肌が刺激を受けていることは間違いないので
可能な限り避けた方がよいと言えます
過酸化水素
過酸化水素水はカラーの2液に使われる酸化剤、漂白剤です
要するに漂白剤(ブリーチ剤)なのです
オキシドールとも呼ばれ、薬局では3%の過酸化水素水が売られており
漂白剤の他に殺菌剤などにも使用されています
私たちの身近なところでは酸素系漂白剤である
ワイドハイターや手間なしブライトの主成分が
過酸化水素です
カラーにおける過酸化水素はアルカリと反応して色素の分解
そして酸化染料と反応して染色させる役割を担っています
症状
過酸化水素水による症状は刺激性接触皮膚炎です
除菌剤や漂白剤を触ると肌に悪いように
カラー剤の過酸化水素ももちろん肌にいいものではありません
漂白剤を触っても平気な人がいるように
誰しもが発症する炎症ではありません
ですがアレルギーとは関係のない刺激に対する炎症ですので
誰でも発症する可能性はあります